肌のクリニック院長のAGAブログ

医師が本気で考えるAGA治療・脱毛症治療

再生因子FGF10(KGF2)と育毛

time 2015/07/27

日常診療や治験等で忙しく、更新が滞っていました。今回はFGF10についての紹介です。FGF10は別名KGF-2、ヒトオリゴペプチド-12と呼ばれている、分子量約2万3千の線維芽細胞増殖因子です。ちなみにKGF-1は以前の記事で紹介したFGF7です。FGF10はFGF7と同様に毛母細胞の分裂、増殖を促すことがわかっています(※1)。毛髪は髪の毛が成長する成長期(3年~6年)、毛根が退化する退行期(2週間)、完全に毛髪の成長が止まる休止期(3ヶ月~4ヶ月)を繰り返します。休止期の髪は、下から新しい成長期の髪が出てくると、押し出されて抜け落ちます。髪の毛を軽く引っ張ったり、櫛でとかしたりしただけで抜ける髪の毛は、この休止期の髪の毛です。いわば死んでいる毛髪なので要らない毛ということになります。休止期の毛が多く成長期の毛が少ないと、抜け毛本数>発毛数となり、AGAは進行していきます。また、通常3年~6年という長い間成長をするはずの成長期の毛が、数ヶ月から1年程度で退行期に移行すれば、やはり抜け毛本数>発毛本数となるため、AGAが進行していきます(ヘアサイクルの乱れ)。FGF10を含む線維芽細胞増殖因子は、毛母細胞を活性化させて毛髪を成長期へ導くとともに、成長期の期間をより長くすることが知られています。

下の写真は実験用マウスの背部を剃毛して、それぞれコントロール(生理食塩水)、FGF1、FGF2、FGF10をマウスの背部に塗布して、4週間比較したものです。それぞれのFGFの塗布量は5μg/12㎠です(※2)。

FGF10マウス

コントロールのマウスには、うっすら全体に毛が生えています。FGF1、FGF2、FGF10のマウスには、かなり密度が濃い毛が生えてきています。写真で見るとFGF10の効果が最も高いことがわかります。皮膚切片を取って毛包数を調べた結果でも、やはりFGF10を投与したマウスの毛包数が最も多かったという結果になっています。実験用のマウスでAGAモデルではありませんので、あくまで参考試験となりますが、FGFが毛髪の成長にj深く関与していることがわかる試験です。

マウスの毛周期は、成長期が18~19日間、退行期が2日間程度と、人間よりも10倍~50倍ほどの速度のサイクルです。マウスの場合は短期間で結果を見ることができますが、人間の髪の毛の成長期は3年以上ありますので、短期間で結果を出すのは難しいのが現状です。どのような薬でもそうですが、最低でも6ヶ月間、できれば1年程度かけて薬の効果を見る必要があります。

※1.J.-H. Jang, “Stimulation of human hair growth by the recombinant human keratinocyte growth factor-2 (KGF-2),” Biotechnology Letters, vol. 27, no. 11, pp. 749–752, 2005. 

※2Wei-hong Lin,“Fibroblast Growth Factors Stimulate Hair Growth throughβ-Catenin and Shh Expression in C57BL/6 Mice”BioMed Research International Vol.2015, Article ID 730139, 2015

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京のAGA治療専門皮膚科「肌のクリニック」の院長ブログ。Twitterではスタッフと院長がつぶやいています。 [詳細]