2018/10/21
「男性における男性型脱毛症」の効能・効果を取得した国内初のデュタステリドであるザガーロですが、現在メーカー都合とのことで発売が延期されています。国内初と言っても、すでに昔から同成分のアボルブが発毛に応用されてきましたし、目新しいことはありませんが、効能効果を取得したため、医薬品副作用被害救済制度の対象となります(アボルブ、デュプロストを発毛治療に使用したい場合は、対象となりません)。
ザガーロの価格としては、アボルブやプロペシアの価格から推察するに、かなり高額になるのではと予想されます。基本的には終わりのないAGA治療において、値段が高すぎる治療は患者にとっての重荷になるため、グラクソスミスクライン社にはなんとか頑張ってほしいものですが、あまり期待できないでしょうね。
ザガーロ承認時のデータはグラクソスミスクライン社のHPに公開されていますので、幾つか紹介します。
ザガーロの発毛効果
※ 頭頂部の直径2.54cm円内における直径30μm以上の非軟毛の数の比較
上記のグラフを見る限り、約6ヶ月経過時点でのフィナステリド(プロペシア)1mgとザガーロ0.1mgはほとんど同等の効果か、ザガーロ0.1mgのほうが若干効果が高く、ザガーロ0.5mgはフィナステリド0.1mgと比較して明らかに効果が高くなっています。
ザガーロの副作用(フィナステリドとの比較)
副作用発現例数だけ見ると、ザガーロ0.1mg>フィナステリド1mg>ザガーロ0.5mg>プラセボの順となっており、ザガーロ0.5mgの副作用発現率がなぜか最も低い数値となっています。ただ、これは承認時の24週のデータであり、また症例数も各治療が200例以下と十分ではありません。もう少し期間を儲けて、十分な症例数で見る必要がありますが、すでに国内ではアボルブが前立腺肥大治療薬として先行して数多くの患者へ使用されており、副作用に大差がないことを考えると、おおよその副作用はグラクソが提示しているとおりで良いのかもしれません。
ただし、以前のエントリー
デュタステリド(ザガーロ・アボルブ・デュプロスト)の効果と副作用1
デュタステリド(ザガーロ・アボルブ・デュプロスト)の効果と副作用2
で記載した通り、デュタステリドもポストフィナステリド症候群のような副作用が起こる可能性はあり得ることであり、副作用をしっかりと見ながら使用する必要性があります。
効果、副作用とも海外での試験と大きな違いはなく、上記を勘案すると、フィナステリド(プロペシア)1mgが無効な症例に対しては、デュタステリド(ザガーロ・アボルブ・デュプロスト)0.5mgを使用するのが良いと考えられます。