肌のクリニック院長のAGAブログ

医師が本気で考えるAGA治療・脱毛症治療

再生因子FGF1 FGF2 VEGFと育毛

time 2015/03/09

AGA治療に最も重要な働きをしている成長因子の一つであるFGF7については、先回の記事を参照してください。今回はFGF1,FGF2,VEGFについてです。

◯VEGF(血管内皮細胞増殖因子、ヒトオリゴペプチド-11)
VEGFには7種類が存在し、VEGFファミリーと呼ばれています。単にVEGFと呼ばれる場合、VEGF-Aのことを指していることが多いです。分子量約20,000。化粧品原料としても登録されています。AGA領域としては、VEGFの持つ血管新生作用という作用が期待されています。血管新生とは、その名の通り新しい血管を作る作用のことです。微細な毛細血管形成を促し、真皮に存在する毛乳頭へ血流(栄養)を届けます。栄養は毛乳頭から毛母細胞へ流れ、毛母細胞の分裂、増殖を助けます。VEGFの血管新生作用としては、次の論文が詳しいです。(血管新生とその制御:VEGFと受容体を中心に※リンク切れ)ミノキシジルもVEGFの産生を促すことが報告されていますし、今ではVEGF自体を配合した育毛剤も数多く目にするようになりました。しかし、先回の記事で書きましたように、VEGF等が製品化された後に、化粧品の中でずっと活性を保っているのかは甚だ疑問に思っています。

◯FGF1(酸性線維芽細胞増殖因子、aFGF、ヒトオリゴペプチド-13)
FGFファミリー23種類の内のナンバー1です。分子量は15,800。線維芽細胞増殖(コラーゲン産生)に関わっており、化粧品原料としても登録されています。線維芽細胞だけでなく、様々な細胞、組織の分化、増殖、発達に関わっていますが、AGA領域では、VEGFと同様に血管新生作用が期待されています。

◯FGF2(塩基性線維芽細胞増殖因子、bFGF)
FGFファミリー23種類の内のナンバー2です。分子量は17,400。線維芽細胞増殖(コラーゲン産生)に関わっています。神経組織や下垂体、副腎皮質、胎盤などの臓器から単離され、胎生期の胚発生や分化を調節し、神経分化や再生を誘導するという多能性がある成長因子です。こちらは、医薬品登録されており化粧品原料としては使用できません。AGA領域では、FGF1と同様に血管新生作用を期待して使用されますが、FGF2のほうが血管新生に関してより重要な働きをします。FGF2の血管新生作用をin vivoで調べた論文があります。(血管新生因子:bFGF/FGF-2(リンク切れ))詳しくは論文の中味を見ていただくこととし、簡単に説明すると、重症の下肢虚血モデルマウス(つまり足の血管がほとんど詰まっていて、足に栄養がいかないため、足が腐ってしまうマウスのことです)に、センダイウィルスベクターという遺伝子の運び屋さんをしてくれるウィルスを使って、VEGFとFGF2遺伝子をマウスの足に運んで、発現させたという試験です。結果だけ簡単に書くと、VEGF単独投与では、血管はたくさん出来たものの、足に栄養を運ぶことができない不完全な血管が多く、マウスの足は腐ってしまいました。それに対しFGF2単独投与では、足に栄養を運ぶことができる血管がたくさん出来て、マウスの足が腐らなかった(切断を免れた)という結果となりました。血管新生には、実に様々な成長因子が複雑に絡んでいるため、簡単には解明出来ない機構ですが、FGF2は血管新生に関して、単独でもかなり強力な作用を持っていることが分かります。

 

 

 

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京のAGA治療専門皮膚科「肌のクリニック」の院長ブログ。Twitterではスタッフと院長がつぶやいています。 [詳細]