AGAブログ | 肌のクリニック・高円寺院・麹町院

AGA治療専門の皮膚科医師のブログです。男性型脱毛症、薄毛、女性のFAGA治療や、発毛と育毛に役立つ知識を、医師の視点から発信しています。育毛業界の裏側や、問題点に対してもメスを入れていきます。

AGA治療で生えた後は薬を中止したり減らしたりできるの?

time 2017/12/27

AGA治療を行っていて、よく患者さんから質問されるものの中に「毛が生えてきたら、薬をやめてもいいですか?」「薄毛が改善したら、薬を減らせますか?」というものがあります。また、それに付随して「AGA治療薬はいつまで飲むのですか?」という質問もあります。

今回はAGA治療中の減薬や休薬について記述してきます。

AGA治療薬を中止すると元に戻る

他院のカウンセリングなどで「一度毛が生えたら、徐々に薬を減らしていきましょう。」などと言われて、生えたら一生ものだと勘違いしてしまうケースがあるようで、「生えたらやめてもいいですか?」といまだによく質問されます。

当院に通院している患者さんや、AGAについて詳しい方は知っていると思いますが、AGA治療薬は飲んでいる間しか効果はありません。つまり、やめたら元通りの状態に戻ります。

止めたらリバウンドしますか?という質問もいただきます。薬をやめると、薬の力で維持していた髪が急に抜け始めるため、リバウンドのように感じる方がいますが、それはリバウンドではなく、元の状態に戻っているだけです。

薬は加齢を止めてくれるわけではありませんので、例えば5年間は薬の効果で髪の毛を維持できていたとしても、そこでやめると5年間分の加齢が進行した状態で元に戻りますから、薬を始める前よりも進行しているように感じます。

ミノキシジルで生やしてフィナステリドで維持したい

ミノキシジルタブレットは強力な発毛作用がある飲み薬です。フィナステリドはDHT(ジヒドロステロン)という男性ホルモンの一つを抑制して脱毛を防ぎます。

ほとんどのAGAクリニックでは、発毛薬のミノキシジルと脱毛抑制薬のフィナステリド(または、デュタステリド)がセットで処方されます。2種類飲むことによって発毛と脱毛抑制が同時にできますので、理にかなった処方内容とも言えます。

AGA専門のクリニックのオリジナルAGA治療薬も、このミノキシジルタブレットとフィナステリドの両方が配合されているものがほとんどですので、お手持ちの薬を確認して見てください。

参考 : AGA専門クリニックや美容外科のオリジナル発毛薬の内容と問題点

ミノキシジルタブレットには強力な発毛作用があり、個人差はありますがかなりの毛が生えてきます。ミノキシジルタブレットで生やした毛を、フィナステリドやデュタステリドで抜けにくくしてあげれば、髪の毛はどんどん増えていくわけですが、ある程度増えた段階でミノキシジルタブレットを中止したいという患者さんがいます。

つまり、一度生えたらもう発毛薬は必要ないだろうという発想です。

しかし、現実にはミノキシジルタブレットを中止してしまうと、ほとんどの患者さんで毛量は減り、維持できなくなります。

それは、ミノキシジルタブレットの発毛作用が非常に強いことと、ミノキシジル自体にもある程度抜け毛を防いでくれる作用があることに起因します。

フィナステリドやデュタステリドは抜け毛を減らしてくれますが、発毛作用がすでに衰えてしまっている方にはあまり効果を発揮しません。ミノキシジルをやめても毛量が維持できる人は、もともと発毛自体には問題がないものの、毛の成長期の維持ができずにヘアサイクル(毛周期)が短縮してしまっていることが原因で起こるAGAの方に限られます。

発毛自体の衰えがある場合、ミノキシジルの発毛作用がなくなると、どんどん髪の毛の量は減っていきます。ミノキシジルタブレットを使う方は、フィナステリドやデュタステリドで維持ができなかった方や、進行度が高い方、薬が効き難いM字や前頭部タイプの薄毛の患者さんですので、ミノキシジルタブレットを中止するとほとんどの方で毛髪は保てなくなるわけです。

では、逆にフィナステリドやデュタステリドをやめて、ミノキシジルタブレットだけでは維持できないの?と思う方もいるかもしれません。

ミノキシジル自体にもある程度の脱毛を抑える効果がありますので、こちらの方がまだ成功する可能性はります。しかし、実際には成功率はあまり高くありません。(逆のケースよりは成功率が高いのは確かですが。)

なぜなら、脱毛抑制としての作用はフィナステリドやデュタステリドの方が上なので、ミノキシジルでせっかく発毛した毛が抜けていき、毛量を保てなくなるからです。

もちろん、軽度の方は、フィナステリドだけの治療やミノキシジルたけの治療でも十分に維持、改善が可能です。また、ミノキシジルタブレット(飲み薬)を使わずに、ミノキシジルの外用薬(塗り薬)だけも改善可能な患者さんも沢山おられます。ここで述べているのは、最初から進行度、重症度が高い薄毛の方のケースです。

AGA治療薬をいつまで飲み続ければいいの?

前述した通り、AGAの治療はやめれば元に戻ります。これは、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルだけに限らず、成長因子の治療(サイトカイン療法、育毛メソセラピー)やHARG療法(※)も同じであると考えています。

当院では、

「AGA治療は絶対にしないといけない治療ではありません。見た目で得られるメリットと、治療にかかる費用や副作用のデメリットを天秤にかけて判断してください。年を取ると価値観が変わりますから、自分が気にならなくなる年まで続けるのがゴールですよ。」

と説明しています。

年をとっても髪の毛がフサフサな方もいますが、若いころと比較すると、毛量は少なくなり、抜け毛は多くなり、白髪も増えてきます。老化には敵わないため、だいたいの方は多かれ少なかれ、髪の毛にも老化現象が起こるわけです。

周りの友人たちも一緒に年を取っていき、薄毛率も高くなってきますので、薄毛でも気にならなくなる年代が来ると思います。そうなったら治療をやめるのが良いでしょう。

また、副作用の方が気になるという方には、最初から治療をおすすめしておりません。AGAになったからと言って、それで健康を害するわけではありませんが、副作用で健康を害することはあり得るわけで、メリットデメリットのどちらに重きを置くかを考えて判断する必要があります。

※当院に通院している患者さんの中で、過去にHARG療法療を受けた方からの聞き取り調査では、有効性は高くなく、維持効果もありませんでした。ハーグ療法専門クリニックでは、効果がずっと続くかのように説明されているのですが、信頼性に欠けると考えています。詳しくは「HARG療法・ハーグ治療を中心とした幹細胞発毛治療」も参考にしてください。

今回は患者さんから多くもらう質問のうちのいくつかを掲載しましたが、来年も患者さんからよくいただく質問を中心にブログを執筆していく予定です。患者さんが増えて(初診は1~2ヶ月待ちとご迷惑をおかけしております)、多忙になったこともあり、なかなかAGA治療ブログの更新ができずに申し訳ありません。

クリニックの年末年始のお休みは12月29日~1月4日までとなります。

良いお年をお迎えください。

書いている人

医師 岩橋 陽介

医師 岩橋 陽介

東京の皮膚科・美容皮膚科「医療法人社団 肌のクリニック」の院長をしています。当院勤務の美容皮膚科医にも時々記事を書いてもらっています。 [医師紹介]

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