肌のクリニック院長のAGAブログ

医師が本気で考えるAGA治療・脱毛症治療

フィナステリドについては、ほとんどの方がすでに知っていると思われますが、簡単にここでも紹介します。フィナステリドは、日本ではMSD株式会社よりプロペシアという商品名で処方薬として発売されています。(MSD社AGAサイト)プロペシア(フィナステリド)の世界特許は、インドのみ縛りから外れているので、フィナステリドを使用した薬剤をインドの製薬会社が製造しています。インドのcipla社が発売しているフィンペシアなどがその代表です。フィンペシアはよくプロペシアのジェネリックと紹介されていますが、上記の理由から厳密にはジェネリック(特許切れ後に同成分で作られた薬剤)ではありません。

フィナステリドの作用機序も簡単におさらいしておきます。血中の男性ホルモン(テストステロン)が5α-還元酵素の働きでDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されます。このDHTは毛乳頭細胞にあるDHT受容体にくっつくと、TGF-βというサイトカインが産生され、そのTGF-βの働きにより、髪が退行期に入って抜け落ちてしまうと考えられています。(以下の図はMSD社AGAサイトより抜粋)
dht
正確にはもっと複雑な機序があるのですが、要は薄毛の原因はDHTであり、テストステロン→DHTへの変換には5α-還元酵素が必要とだけ覚えておけば良いです。フィナステリドはその5α-還元酵素の働きを妨害するので、テストステロン→DHTへ変換ができなくり、DHTが減るので、脱毛を抑制する効果があります。脱毛が減るということで、一般によく「防御系」の薬剤などと言われます。これに対して、積極的に発毛を促す薬剤は「攻撃系」の薬剤と言われます。攻撃系としてはミノキシジルがその代表ですが、ミノキシジルも脱毛抑制効果が認められているので、厳密にはっきりと区分できる薬はありません。

フィナステリドはAGA診療ガイドラインでの男性に対しての推奨度はAランクとなっており、日本でもアメリカでもまず第一選択薬にする薬剤とされています。臨床ではほとんどが1日1回1mgの投与で試験を行っており、多くのRCT(ランダム化比較試験)で有効性が証明されています。試験の結果をざっくりまとめると、国内の試験では1年間のフィナステリド1mg/日の使用により、軽度改善以上が58%、不変が40%です。AGAは進行していく疾患ですので、不変であれば脱毛の抑制につながっていると考えられるため、実際には98%の有効率となります。海外の試験では2年~3年の内服により、68%~78%の患者さんで軽度改善以上の効果が認められています。効果を見るためには最低6ヶ月は続ける必要があり、アメリカのコンセンサスオピニオンでは12ヶ月の投与の後効果を判定すべきとされています。そのため、3ヶ月程度で効果が出なくても、副作用がなければ続けてみるのがよいでしょう。ただし、効果が認められても、中止してしまうと徐々に元に戻ってしまうので、その点は覚悟して飲む必要があります。実際の臨床でも、プロペシアを使用してかなりの患者さんで有効性を認めています。しかし、一部の患者さんでは満足度は高いのですが、その他の患者さんでは、有効であっても満足いくレベルではないという感じで、プロペシアによって全てのAGAを改善させるのは難しいのが現状です。

 

 

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京のAGA治療専門皮膚科「肌のクリニック」の院長ブログ。Twitterではスタッフと院長がつぶやいています。 [詳細]