肌のクリニック院長のAGAブログ

医師が本気で考えるAGA治療・脱毛症治療

腐りきっている脱毛症・AGA治療業界 その1

time 2017/03/29

日々の診療の中で常々思いますが、AGA業界は、ほんとに腐っているというか、怪しいクリニック・医師が多いです。(※もちろんみんながみんなではありませんよ。)

チェーン展開しているAGA治療専門クリニックからの患者さんが当院へ流れてきますが、薬に対するいい加減な説明、カウンセラーによる高額治療の押し売りなど、聞いていて辟易します。(※チェーン展開しているクリニックがすべてそうと言っているわけではありませんので、あしからず。)

そういったチェーン店方式のAGAクリニックでは、「月額2000円から始めるAGA治療!」「月額3500円~で抜け毛治療!」などと、極端な低価格をアピールした広告を出していますが、それにつられて患者がカウンセリングに行くと、何十倍もの高額な治療を契約させられるケースが多々あります。

育毛メソセラピーのコースを120万円で勧められ、断ると「今なら特別に80万円にしますので、このチャンスを逃さないでください。」などと言われ、断りきれずに契約してしまった例や、月額数千円で治療できるのならとカウンセリングを受けたところ、カウンセラーや医師にいろいろと言われ、結局半年で20万円の契約を結ばされてしまった、などといった例は、山のように聞きます。

AGA治療は保険が効かない自費診療ですから、高い治療を行うこと自体に問題があるとは思っていません。ファミリーレストランで1000円の料理が、高級レストランで1万円したとしても誰も文句を言わないように、極端な話、100円の薬を1万円で処方していようが、10万円で処方していようが、人件費や場所代などで様々な経費が掛かっていますから、それはそれで構いません。

(ただし、料理は同じものではありませんが、薬はまったく一緒のものなので、あまりに価格差があるのはどうなのかとも思います。このことについては、次の回で詳しく述べていきます。)

医療広告の問題点

では、何が問題なのか?というと、まず医療広告です。医療広告は、医療広告ガイドラインというものに沿って作られますが、ガイドラインには「自費診療の費用を広告に掲載することは、患者にとって有益な情報の1つであることから、掲載して良い。」ことになっています。

自費診療を受けるときに、誰しも「一体いくらかかるだろう?」と思うと思います。そこでインターネットを検索して、月額2000円!などと書いてあれば、「さすがに2000円はないかもしれないが、良心的な価格だし、カウンセリングも無料だし、話を聞きに行ってみよう。」となり、前述のように高額なコースを組まされることになるわけです。

医療広告ガイドラインでは、あくまで「患者がわかりやすいように、有益な情報を得られるように費用を掲載してもいいですよ。」と言っているにも関わらず、そのクリニックで扱っている一番安いAGA治療薬の費用だけを書いている広告ばかりで、患者にとって有益な情報どころか、非常に混乱させる情報になってしまっています。

月額2000円が一体何の治療薬なのか?最初だけなのか?2回目以降も適用されるのか?何割くらいの患者が月額2000円で治療できているのか?それより高い治療はいったいいくらなのか?などわからないことだらけです。広告内のみならず、自院のホームページでもきちんとすべての料金を書いているクリニックはあまりありません。

ちなみに、チェーン店系AGAクリニックで月額2000円や月額5000円といった、安価な治療をしている(もしくは過去にしていた)患者を私は一人も知りません。(都内ではかなり治療費が安いほうである当院でも、フィナステリド1mg錠が30日分で2700円、その他に診察料が2900円かかりますので、6ヶ月処方の場合で1ヶ月あたり3200円が最低料金です。)

本当に月額2000円だけで治療している患者がいるのでしょうか?いるとすれば、どれくらいの割合なのでしょうか?まったくもって怪しいと言わざるを得ません。

ついでに書いておくと、ここでいう医療広告というのは、グーグルやヤフーに表示される「広告」と文字が付いたものや、バナー広告などのことです。自院のホームページは医療広告とはみなされず、医療広告ガイドラインの適用外です。ただし、広告やバナーからリンクしているホームページは、広告とみなされます。

カウンセラーの問題

いくつかの大手のAGA治療専門クリニックは、カウンセラーを雇っています。このカウンセラーは、たいてい何の医療資格も持っていません。

問診票を書くと、診察室ではなく、カウンセリングルームなるものに案内されたことがある人も多いのではないでしょうか。カウンセリングルームでは、マイクロスコープでの頭皮チェックや写真撮影などが行われ、何の医療資格も持っていない素人のカウンセラーが、「〇〇様の頭皮を見ると、かなり進行していらっしゃいますね・・。恐らく普通の治療だと厳しいかもしれません。」などと、マニュアル通りのことを言い、その後診察室へ案内されます。

診察室では医師から、「進行していますから、少し効果が高い治療が必要ですね。お薬と育毛メソセラピーも併せてやると良いでしょう。詳しい説明はまたカウンセラーからさせますね。」などと、1分診療で適当なことを言われ、医師からは詳しい治療の内容や薬の効果、副作用などの説明を十分されないまま、またカウンセリングルームに戻されます。

そして、カウンセリングルームでは、「お薬と育毛メソセラピーをするように先生から言われたと思いますが、詳しくご説明させていただきますね。」などとカウンセラーから言われ、薬の説明や料金の説明を聞くことになります。ちなみに、薬の説明は医師か薬剤師に限定されていますので、カウンセラーが行うことは完全に違法です。

カウンセラーから「育毛メソセラピー10回とお薬6ヶ月分で120万円ですが、現在キャンペーン中で80万円になります。初回限定価格ですので、次回以降はありませんから、この機会にいかがですか?」などと、言葉巧みに押し売りが始まります。

つい最近当院にいらした患者さんは、「さすがに高すぎる。」と断ったものの、「じゃあお薬だけのコースにしておきますか?それなら半年で18万円です。いまなら、特別に育毛メソセラピーを1回無料でお付けしますよ。」と言われ、高額な育毛メソセラピーを1回無料でつけてもらえることと、当初の120万から18万に価格が下がったこととで、非常に安くお得に感じてしまい、契約してしまったそうです。

家に帰って処方された薬をインターネットで調べたところ、肌のクリニック(当院)の治療費がそのAGAクリニックの4分の1であることがわかり、肌のクリニックに来院されました。結局その患者さんは、そのAGAクリニックでの契約を解除することに決めました。

ちなみに、高額で利益率が良いため、育毛メソセラピーを問答無用に勧めるクリニックが沢山ありますが、私が以前からこのブログで書いているように、成長因子の育毛メソセラピーの効果にエビデンス(医学的根拠)はありません。当院でも成長因子を使用した治療を行っていますが、確かに臨床的に効果が出るケースも多くありますが、効果が出た後も治療を続けていかなければ、また元に戻ってしまうことも事実です。これは他のAGA治療薬と同様で、治療をやめると元の薄毛に戻ります。1回8万もする育毛メソセラピーを何年~何十年も続けられる人がどれほどいるでしょうか?

当院で治療を希望される患者さんへは、治療効果に個人差があることや、治療効果が出てもやめてしまうともとに戻ってしまうことを説明してから治療を行いますが、他院ではそういった説明を全くされていないケースが非常に多くあります。ちなみに、この患者さんは無料で育毛メソセラピーが1回つくと聞いてお得に感じてしまったようですが、断言しますが、1回の育毛メソセラピーでは”まったく何も変わりません”。生えてきたとしても、それは内服薬の効果で、たった1回の育毛メソセラピーの効果ではありません。

最初に述べたように、薬自体は自費診療なので、高くても安くてもそのクリニックで決めている値段なので問題ありません。しかし、その薬の価格は「オリジナル処方薬」によって吊り上げられていました。オリジナル処方薬の問題については、「AGA専門クリニックや美容外科のオリジナル発毛薬の内容と問題点」でも取り上げていますが、次回にまた詳しく書くこととします。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京のAGA治療専門皮膚科「肌のクリニック」の院長ブログ。Twitterではスタッフと院長がつぶやいています。 [詳細]