AGAブログ | 肌のクリニック・高円寺院・麹町院

AGA治療専門の皮膚科医師のブログです。男性型脱毛症、薄毛、女性のFAGA治療や、発毛と育毛に役立つ知識を、医師の視点から発信しています。育毛業界の裏側や、問題点に対してもメスを入れていきます。

ミノキシジルタブレットの発毛効果その2

time 2017/08/20

ミノキシジルタブレットの強力な発毛作用

以前の記事「ミノキシジルタブレット(内服薬)の発毛効果と有効性」で、ミノキシジルタブレット(内服薬)は、ミノキシジル外用剤と比較して強力な発毛作用があることを書きました。

当院では、AGAの治療を大きく「標準治療」と「強力な治療」とに分けていますが、前頭部型(いわゆるM字や生え際ラインの後退)の脱毛症や広範囲の脱毛症には、強力な治療を行うことが多くあります。

強力な治療はミノキシジルタブレット+デュタステリド+ニナゾルシャンプーという組み合わせです。ミノキシジルタブレットを発毛薬として使用し、デュタステリドを脱毛抑制薬として使用することで、ミノキシジルタブレットで生やした毛を抜けにくくし、どんどん毛を増やすという治療となります。ニナゾルシャンプーは補助的な治療ですが、市販のシャンプーに発毛・脱毛抑制効果は期待できないため、外側からDHT(デヒドロテストステロン=男性ホルモンの一つ)を抑える作用を持つ医薬品のシャンプーに変えてもらっています。

強力な治療の症例

実際に当院で治療した方の症例写真を掲載します。写真はHPにも載せさせていただいておりますが、患者さんの承諾を取って載せています。

※複製、転載を固く禁止します。

こちらの患者さんは、50代ということもあり、AGAが前頭部~頭頂部まで広範に進んでいたため、ミノキシジルタブレット+デュタステリド+ニナゾルシャンプーの強力な治療を行いました。7ヶ月使用していただいた後の写真ですが、しっかりと太い毛が生えてきています。

強力な治療を行うと、通常は半年ほどで顕著な改善を認めます。その後1年くらいでピークとなり、あとは維持となります。

AGA治療のよくある質問

「やめたらどうなりますか?」というご質問がありますが、どんなAGA治療薬も同様ですが、やめれば元の状態に戻ります。例えば、10年間AGA治療薬で髪の毛を維持できていたとしても、薬をやめるとその効果がなくなりますので、10年後の状態に戻ります。つまり30歳で治療を始め、40歳で治療を中止した場合、治療を開始する前の30歳の時点の髪の量に戻るわけではなく、40歳の時点の髪の量に戻ることになります。AGAの治療薬は、毛根の加齢を止めることはできませんので、薬で抑えている間にもAGAの症状は進んでいるのです。

「最初に強力な治療で生やして、そのあとフィナステリドなどの弱い治療で維持することは可能ですか?」というご質問もよくいただきますが、基本的には薬を弱くすれば、その分しか維持できません。つまり、強い薬で生えた毛がすべて維持できるわけではなく、弱い薬で維持できる量以外の毛は抜けてしまいます。

「維持できない可能性はありますか?」というご質問については、個人差があるものの、その可能性があることを説明しています。ミノキシジルを10年以上飲んで維持できている方もいれば、最初は生えたものの、数年で維持できなくなる方もいます。

この理由は、まず、どんなAGA治療薬も同様ですが、効果がある以上に、薄毛の進行が強い場合です。水面下では加齢や遺伝による薄毛は進行していますから、薬で抑えられる以上の進行があれば、飲んでいても徐々に薄毛が進行していきます。本人は飲んでいる状態と飲んでいない状態の比較ができないため、薄毛が進行してくると、ミノキシジルの効果がなくなったと感じる人もいます。ですが、実際には飲んでいない状態よりも薄毛の進行は抑えられているはずです。その証拠に、やめると抜け毛はもっと増えてきます。

もう一つの理由は、「ミノキシジルに対する耐性」の問題です。これは、医学的には証明されていませんが、一部の患者さんで1ヶ月ほどやめて、また開始したら改善したという報告があり、そのような事象が起こっているのかもしれません。耐性については、フィナステリドやデュタステリドに対してもよく言われることがありますが、真偽のほどはわかりません。

AGAの治療はあくまで見た目の問題

当院で患者さんへ初診時に説明していることは、AGAの治療は絶対にやらないといけないものではないということです。

確かに、薄毛というのは男女問わず大きな悩みですから、精神的なストレスから身体的な面に波及してしまうことはあるかもしれません。しかし、AGAは、直接、身体的・肉体的に支障をきたす疾患ではありませんから、治療をしないという選択肢もあります。

見た目で得られるメリットと副作用や費用などのデメリットと天秤にかけて考えるべきです。

そうはいっても、特に20代30代の方の薄毛の悩みは相当深刻なものがあり、また、当院に来院される時点で治療を希望されている方も多いため、患者さんの希望を聞いて治療方針を立てます。当院では、迷っている方や不安が強い方には、無理に治療をすすめることはありませんので、そういった意味では、かなり「受け身の診療」です。

一部のクリニックでは、カウンセラーから「早く治療しないとどんどん進行していきますよ。」などと不安を煽られ、高額な治療を勧められるケースがあるようですが、高額な治療を行う前に、治療が本当に必要なのかをきちんと考えましょう。

書いている人

医師 岩橋 陽介

医師 岩橋 陽介

東京の皮膚科・美容皮膚科「医療法人社団 肌のクリニック」の院長をしています。当院勤務の美容皮膚科医にも時々記事を書いてもらっています。 [医師紹介]

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