肌のクリニック院長のAGAブログ

医師が本気で考えるAGA治療・脱毛症治療

治療機器の選定 その1

time 2015/05/06

AGA治療を行うにあたり、治療機器の選定は非常に悩むところです。頭皮に薬剤を浸透させるためには、様々な施術方法があるわけですが、AGA治療の場合は安易に決められない側面があります。薬剤を頭皮へ直接届けるためには、単純な発想として頭皮への注射針による直接注入が考えられます。一部の医院でミノキシジルや脂肪幹細胞由来成長因子の頭皮への注射(HARG)が行われていますが、頭皮への注射は、表面麻酔をしたとしてもはっきり言って、めちゃくちゃ痛いです。しかも、1回の治療で頭皮へ何十回と刺しますから、それをずっと継続できるのは、よほどの我慢強い方以外難しいのが現状です。エムラクリームで表面麻酔をしっかり行い、32ゲージの極細の針を使用し、下記の画像のメソガンと呼ばれる銃のような機械を使用すれば、多少の痛みが緩和されるでしょう。
meso
【メソガン】

しかしそれでも、頭皮は顔などの他の皮膚と異なり硬く、薬液が注入される際に皮下組織が伸展するため、強い痛みがでることを覚悟しなければなりません。ミノキシジルしかり、HARGしかり、脂肪幹細胞しかり、1回受けてそれで終わりという治療は存在しませんので、AGAの治療では原則、ずっと受け続けられるものでなくては意味がありません。そのため、頭皮への直接注射というのはまず選択肢から外れました。

次に考えたのが無針注射器です。針を使用しない注射器で、薬液を高圧で発射させることで、皮膚を貫通して皮下へ薬液を届ける装置です。日本でも1970年代に無針注射器「ハイジェッター」が実用化されており、針を使わないので痛みが少ない、針の交換不要、消毒不要などの謳い文句で予防接種に用いられた時期がありました。しかし、滅菌をしなかったハイジェッターが原因で、ウィルス感染が報告されるようになりました。これは、高圧で薬液を発射するため皮膚や血管にもある程度の損傷が起き、血液や浸出液がハイジェッターへ付着するからです。また、痛みが少ないとされていましたが、痛点にあたるとそれなりに強い痛みを伴うことや、ハイジェッターによる神経損傷が報告されるようになり、廃止になってしまいました。その後、無針注射器は改良され、2014年8月15日に「Stratis」という製品が、米FDAの承認を得て発売されました。
Stratis【無針注射器 Stratis】

Stratisはハイジェッターよりも、さらに狭い範囲で高圧射出し、出力も抑えられているために、神経損傷をきたすことは稀だとされています。また、先端チップは1回使い捨てであるため、感染症のリスクもなくなっており、米国ではインスリン注射の他、インフルエンザの予防接種にも使用し始められています。

肌のクリニック

院長 岩橋 陽介

院長 岩橋 陽介

東京のAGA治療専門皮膚科「肌のクリニック」の院長ブログ。Twitterではスタッフと院長がつぶやいています。 [詳細]